読書する子供
(ヴァルター・ベンヤミン/浅井健二郎・編訳、
久保哲司・訳「ベンヤミン・コレクション3」ちくま学芸文庫より)
「___子供には、主人公の冒険が、活字の渦巻きのなかにもまだ読み取れる。ちょうど、人物の姿や何かのメッセージが、雪片の舞うなかに読み取れるように。
子供は、もろもろの出来事と同じ空気を呼吸し、そしてすべての人物の息が、子供に吹きかかってくる。
子供は大人よりもはるかに親しげに、登場人物達のなかにまぎれこんでいる。
出来事に、そして交わされる言葉に、子供は言いようもなく心を打たれており、そして立ち上がるときには読んだことが雪のように、体中に降り積もっている。」
(本文より抜粋)
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